「本の背表紙に呼ばれる」の上を行く体験
本好きな人間なら、一度は経験しているかもしれない。
「本の背表紙に呼ばれる」という現象がある。
「本と目が合う」と、言い換えてもいいかもしれない。
本屋さんで、並んだ本を当てもなくさーーっと眺めているときなどに、何故かある一冊の本に、吸い寄せられるように目が止まる現象だ。
それが、ただ「気になった」というレベルではなく、まさに運命の相手に出会ったときのようにビビッときたり(運命の相手に出会ったことないけど)目が合った、と表現したくなるほど、バチッと強く惹き付けられる感覚があるのだ。
こちらから気になったのではなく、本の方からコンタクトされたかのような、強烈な感覚。だから「呼ばれる」と表現する。
わたしは過去に何回か「呼ばれる」体験をしている。
なぜか、今まで全然読んだこともない、興味もないようなジャンル、知らない筆者、特に惹かれる要素のないタイトル、であることが多い。
しかし、読んでみると引き込まれるように面白く、そのときの自分に必要な情報がピンポイントで含まれていたりする。
なぜこんな現象が起こるのかわからないが、一種の引き寄せとか、サインとか、そういうものなのかもしれない。
それで、実はわたし、この「背表紙に呼ばれる」の上を行く体験をしたことがある。
ある日、仕事帰りに本屋に寄って、物色していたときの話である。
当時は、帰り道に深夜まで開いている本屋があったので、仕事帰りに寄って、目的もなく本を見て回るのが習慣になっていた。本が並んでいるのを眺めるだけで癒される気持ち、本好きなら理解してくれると思う。
その日もいつものように、純文学と海外小説の棚を、なんとなくぼーーーーっと眺めていた。そのうち、眺めながらふと気付いた。
手の中に、いつの間にか本が握られていたのだ。
ビックリして、わたしは本を二度見した。
(わたし、この本をいつ取った!?)
何度思い出しても、本を手に取った記憶がない。
新手のスタンド攻撃かと思った。
ぼんやりしていたのは事実だが、手の中の本を見ても、どう見ても知らない作者の本で、わたしは海外の作家にあまり興味がないし、タイトルも初めて見るものだった。
つまり、前から気になっていたのを、無意識のうちに覚えていて手に取った、とかではない。
しかし、読んでみたら惹き込まれた。
目が勝手に文字を読み進み、意識が世界に入り込んでいく。
そこに書かれていることは、不思議な世界観で、今までの自分には全く馴染みのない価値観だったけれど、不思議と深く納得する自分がいた。
そこに書かれていたのは
「人が夢を叶えようとするとき、宇宙は必ずそれを助ける」
という「宇宙の法則」や「真理」を伝えるものだった。
いわゆる「スピリチュアルな世界」は、それまでのわたしには馴染みのないもので、書かれているのは不思議なことばかりだったが、なぜか読み進むほどに、震えが来るほどの喜びが湧き上がって来た。
自分の感覚を信じて生きていいのだ。
やりたいことを叶えていいのだ。
それをすると、宇宙から応援されるのだ。
このメッセージに痺れた。
そしてわたしは、本に書かれている通り、家庭教師として独立するため、勤めていた塾を辞めた。
ええ。
仕事を辞めました。
本に影響されたからです。
え、いや、いくらなんでも。
いくら、いい本を読んで感動したからって、いきなり影響されて仕事やめたりします?
これを読んでいる常識的なあなたは、ひょっとしたらそう思ったかもしれない。
しかし、そんなあなたは、ぜひこの記事を読み直して欲しい。
ええ。
わたしは、こういうことを一時の衝動や思いつきで、平気で実行してしまうやつなんです。
馬鹿なんですよ。
さて、話を元に戻す。
わたしの人生に、それほどの影響を与えた本のタイトルです。
「アルケミスト」
アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)
- 作者: パウロコエーリョ,Paulo Coelho,山川紘矢,山川亜希子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1997/02/01
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 65人 クリック: 692回
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パウロ・コエーリョの名作です。
スピ好きなら、一度は読んでいると思うし、わたしと同じくバイブルにしている人もいると思う。多分「星の王子様」と並ぶくらい、好きな本に上げる人、多いんじゃないかな?
「宇宙の法則」を、わかりやすく記した本であり、錬金術で言う「真理」や、今は多くの人が実践し、伝えている「感覚に従って生きる」ということ、魂の望む生き方をすることの極意が書かれています。
わたしが一瞬で、人生のレールを乗り換えてしまうほど、影響された本です。
価値観がガラリと変わった......と思っていたけど、本当は「思い出した」というのが正しいのかもしれない。
今でも、何度も何度も、繰り返し読んでいます。
あの日、この本がいつの間にか手の中に入っていなければ、わたしは別の人生を歩んでいたかもしれない。(いつかは同じ道に来るのだとしても、もっと遅くなったかもしれない)
手の中に突然入っていたことには驚いたけど、やはりわたしは、あれは本の方から手の中に入ってきたのだと思っている。
きっと、そんな掟破りな(物理法則に逆らう)ことをしてでも、わたしに読ませたい本だったのでしょう。(誰が? たぶん神様か、わたしの守護霊か、あるいは本自身が)
不思議な話だけど、今ではそれがしっくり来ている。
で、なんでこんな話をしようと思ったのかというと、前回の記事で錬金術師の話が出たとき、ハガレンのステマはしたのに、この本のステマを忘れたからだ。
せっかくなので、丸々一記事使ってステマしました。
相変わらずステルスの意味を全くわかっておりませんw
冗談は抜きにして、とてもいい本です。